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残念ながら。

ちょっとした心遣いをしていただければ、
あの夜はもっと有意義なものになっていたはずなのに。
当の本人はそんなことは全く気にしていないようだったけれども、
あなた以外のみんなはそう感じていたはずだ。
我慢にも限界というものがある。
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by ikanika | 2012-12-24 01:09

『一人の居場所』#1~#14

一人の居場所 ♯1

「やぁ、久しぶり。元気にしてた?」
夏休みが終わって、久しぶりに学校へ行くとき、なんとなく緊張した記憶がある。
友達はみんな、夏休み中にどことなく大人になっていた気がした。
同じ背丈だったはずの親友は、自分よりもひと回りおおきくなっていたり、
意中の女の子は、いちだんと可愛くなっていたり、
自分だけが少し、取り残されたような気分だった。
たぶんそんなことはなかったのだろうと、今となっては思うことが出来るのだけれども。

夏は、人を少しだけ成長させる。
それは、子供も大人も同じこと。
この夏は、君をどんな風に変えたんだろうか。
                                             
20110831






一人の居場所 #2

きみはいつも、とてもおいしそうにご飯をたべる。
ときには泣きべそをかきながらも、あるいはふくれっ面をして黙り込んだままでも、
どんなことがあっても、ご飯をおいしそうに頬張る。
まるで動物園のキリンのように、モグモグと、とてもおいしそうに口を動かして。
「そんな風に食べられれば、もう大丈夫だな」と、ぼくはその口元を見ながら思う。
そして、食べ終わる頃にはいつものきみの笑顔。
かなわないなぁ、
どんな言葉よりも、おいしいご飯。

だから、笑顔がほしいときはまずはこう言うのさ
「さぁ、ご飯ができたよ、食べようか」                           
                                             
20110918







一人の居場所 #3

日暮れが早くなり、夜が長い季節。
闇を前にして、いつもよりもいろんなことが頭をよぎる。
遥か昔のこと、曖昧な未来のこと、遠くにいる知人のこと、目の前にいる家族のこと、
かと思えば、
この冬は、新しいブーツと手袋を買おうか、そろそろストーブの準備をしようか、とか、
今年のクリスマスプレゼントは何にしようか、ということまで。

瞑想する長い秋の夜。
それは、きみが迷子にならない為に用意された大切な時間。
些細なこと、抱えきれない大きなこと、本当は目をそらさずに考えるべきことは、たくさん。
迷子にならなければ、
きみの為に用意されたすべての答えに辿りつけるはずなのだけれども。
                                               
20111005





一人の居場所 #4

男は恋なんて興味がないと思っていた。
女は愛なんて別世界のものだと思っていた。

男は天体観測をしに山へ登った。
女は珍しい花を探しに山へ登った。

男は雨と満員電車が苦手だった。
女は雨の日のドライブが好きだった。

男は靴をピカピカに磨いていてもいつも靴ずれに悩んでいた。
女はいつも白いスニーカーだけれどハイヒールを履きこなしたいと思っていた。

男はよくお酒に飲まれた。
女はいくらでも飲めた。

男は子供のころ母親の作るハヤシライスが大好物だった。
女は子供のころ父親が趣味で打つ蕎麦が大嫌いだった。

男はJazzのことを良く知っていた。
女はJazzは何を聴いたらいいのか分からなかった。

男は女にこう言った「君と僕は少し似ているかも知れない」
女は男にこう答えた「それは多くは似ていないってことね」

男はクリスマスにレストランを二名で予約をした。
女はクリスマスは予定を入れずに空けておいた。

Merry Christmas to you                                   

20111111





一人の居場所 #5

冬の寒さにも慣れてきた頃、
毎年、いつもきまって
遠くにいるきみからの便りが届く。
短い文面に、「元気でいる」ということだけを
さらりと知らせてくれる。
それは嬉しくもあり、少しだけ寂しくもあること。
ほんとうならば、いつも近くで
元気のないきみのことを見ていたり、
取り留めのない長いおしゃべりを聞いていたり、したい。
暑い夏や、青い春や、赤い秋の頃に
きみがどんなふうに髪を靡かせ、
きみのシャツをどんな風が吹き抜けているのか、知りたい。
だから、新しいぼくらを始めることにする。
元気なときばかりではないはずなのに、
元気でいると綴らなくてもいいようにね。


20111226



一人の居場所 #6

春のことを思う。
この先、春がやってくることを思うと
少し嬉しくなる。
多少の差はあれ、春は必ずやってくる。
それは自然との約束事。
確実に守られる約束事。

君のことを思う。
明日きみに会えると思うと
とても嬉しくなる。
世界に何事も無ければ、必ずきみに会える。
それは世界がきちんと約束を守っているから。

残念ながら、自然との約束事ほど、
僕らの世界の約束事は、信用できない。
春がやってこない、は無いけれども
きみに会えない、は残念ながらあるかもしれない。

約束通り、こうしてきみに会えるということは、
たくさんの守られた約束事の上に成り立っている
とても大切な時間。

春になったら、また会おうか。
約束だよ。


20120202






一人の居場所 #7

さよならを言わなくてならない季節。
どうして離れ離れにならなくてはいけないのか
その時の僕はただ腹立たしく、
むなしく思うことしかできなかった。
それが大人になっていくということだとしたら
大人になんかなりたくないと思った。
いつまでもこのままがいいと。

新しい日々が始まると
きみはもうどこか遠くの人になってしまった。
あんなにいつも一緒に過ごしていた日々は
もう遠い昔のことで、
きみも僕もそれをどこか目に付かないところへ
しまいこんでしまった。

歳月が流れ、もう何十回とさよならの季節をやり過ごし、
ぼくらは大人になった。
今は、別離を上手に受け入れることが出来るようになった。
さよならの次に、はじまりがあることを知っているから。

でも、あの時の腹立たしさとむなしさは
未だ消えることがなく、
いつまでも僕の中に不器用に居座り続ける。
あの時の、どうして?の答えは
大人になったぼくにもきちんと答えてあげることはできない。
“それは、大人になったらわかるようになるかもしれない”と
答えを空に投げることくらいしかできない。
大人なんてそのくらいのものさ。

20120304





一人の居場所 #8

光がキラキラと輝き
風が香り、花が咲き、
春という季節が訪れる。
その季節に背中を押されるように
きみは新しい扉をあける。
たくさんの見知らぬ人たちに囲まれ、
たくさんの未経験な困難に囲まれ、
たくさんの慰めと励ましに囲まれ、
きみは、「もうたくさんだ」と思う。

そんな毎日を繰り返しているうちに
きみは少しだけ強くなっていた。
強くなった分、人にやさしくできるようになっていた。
大切なひとを悲しませることも少なくなった。
他人を怒らせることも少なくなった。
毎日を過ごすことがとても楽になった。

楽になったと思っていたら
また春がやってきた。
そして、きみの前に新しい扉が用意されていた。
春はきみの背中をそっと押し、
きみはその扉をあけることになる。
そうやって、春はきみの背中を何度も押してくれた。

ある春に、きみの前にもう新しい扉は無かった。
だから春は、きみの背中を押すことも無かった。
きみは戸惑う。
でも、大丈夫。
もう、きみは誰かに背中を押してもらう必要が
なくなったということ。
「ただ、そのままいけばいい」と春が告げている。

20120323






一人の居場所 #9

きみを取り囲む世界は
きみの味方ばかりではない。
どちらかというと
きみのことなんか
何も気にしていない人の方がたくさん、
だと思っておいた方がいい。
だからと言って、嘆く必要はない。
きみだってそうだろう。
偶然隣り合わせた他人の苦悩を
自らのこととして共有できるか?

ぼくらの日々は、
多くの無関心な他者との出会いと
僅かな親しい友人に囲まれ、
淡々と流れていく。

今日、きみに訪れた出会いは
生涯の宝物になるかもしれないし、
そうでもない平凡な出来事かもしれない。
平凡ならまだいい、
世界にはとんでもないインチキも存在する。
それを見分ける術を、
きみはまだ持ち合わせていないかもしれない。
だから、少し痛い目に会うかもしれない。
見知らぬ他人に用心深くなってしまうかもしれない。
でも、そういうことを繰り返して
みんな生涯の宝物に出会い、
世の中のインチキを見極める術を手にするのだ。
その為には、扉を開けておかなくてはならない。
少しの痛みくらい、覚悟をして。
閉ざしてしまったら、
宝物にはいつまでたっても出会えないからね。

20120509





一人の居場所 #10

なんとなく、いつもの毎日に慣れてきた頃でしょうか。
もしかしたら、毎日は川が流れていくように
今日の次に明日が来ることを疑ったりすることもなく
些細な問題や悩みは時間が解決してくれて、
少しややこしい問題は役割を与えられた誰かがなんとかしてくれて、
毎日はそんな風に過ぎていくものだと感じているかも知れません。

でも、そうやって積み重なった毎日には
目の届かないところにそっと仕舞いこんでしまったことがたくさんあって、
言いだせないでいることがたくさんあって、
言ってほしくないこともたくさんあって、
少し辛いなぁ、って思っていたり。
誰かの不誠実に心が折れてしまって、
誰にも知られないようにそっと涙をぬぐっていたり。
そういう日々かもしれません。

そんな時、きみを救ってくれるのは、
慰めでも励ましでもなく、
たぶん誰かの笑顔なんじゃないでしょうか。
だから、きみも笑顔でいなくてはなりません。
きみが救ってあげなきゃいけない誰かのために。

みんな、そんな毎日だよ。


20120606








一人の居場所 #11

夏が近づく。
7月の雨音は、夏の足音。
眩しい日差しと、
熱を帯びた風を思い出す。
7月の雨が止むと
すぐそこには短い夏が待っている。

夏は君を解放し、
少しだけ大胆にする。
いつもと違う服を纏ってみるといい。
いつもと違う道を進んでみるといい。
いつもと違うメニューを選んでみるといい。
ちょっとの冒険が許される季節。

今ここで躊躇してしまうと
夏はあっという間に君のもとを離れていくよ。
また一年、いつも通りの君のままさ。

さぁ、少しの勇気だけだ。
いつもと違う夏には、
いつもと違う君が待っている。

夏は新しい君に出会える季節。
さぁ、準備はいいかい?


20120702





一人の居場所 #12

どちらかと言うと、寒いほうがまだいいや、とか
夏をやり過ごす、とか
最近、夏は少し嫌われもの?

夏休み、っていう響きに
わくわくしていたのは遠い昔。
いつまでも夏が続いて欲しくて、
夏の終わりの夕暮れに少し寂しくなってしまったり、
友達と過ごした楽しかった夏を思い出し、
もう一度、夏の始まりに戻ってくれないかな、
なんて思ってみたり。
夏はいつでもそんな風だった。

いつの頃からか、
夏を楽しむ術を忘れてしまったのかもしれない。
それが大人になったということならば、
少しつまらないね。
やり過ごす、なんて言ってないで、
大人には大人の夏の楽しみを。

それを見つける夏にしよう。

20120719





一人の居場所 #13


月が輝く夜、満月なことにふと気付く。
ある日突然、満月になる訳ではないのに、
きみが見上げるのは大抵、満月の夜。
いつも傍にいるはずなのに、
その他の夜の月を、きみは覚えているだろうか?
辛うじて、三日月くらいか。
そう、いつも近くに居るからって
見ていないことの方がたくさん。

月が雲に隠れ、急に闇が暗さを増す。
雲が晴れるのを待っていると、
次から次へと、雲が流れて来て、
月の光を遮ってしまう。
流れる雲がどこからやってくるのか、
きみは知らない。
どうしたら雲が晴れてくれるのかも
きみは良くわからない。

月はいつでも近くで輝いてくれているものだって
思ってはいけない。
見上げればいつも月がそこにあるものだって
思ってはいけない。
満月ではない月と、
雲の向こう側に隠れている月を、
きみはきちんと観測しなくてはいけない。
上手く出来るようになったら、
月は本当の姿をきみに見せてくれるだろう。
そう容易いことではないはずだけれど。

20120901








一人の居場所 #14


きみが料理をつくる。
一生懸命つくる。
野菜と水遊び。
魚と睨めっこ。
お肉と火遊び。
僕はただじっと待つ。
なにやら良い香りが漂い、お腹がグゥ~と鳴る。
きみに聞こえるくらい大きな音で。
でも、たぶんきみは気付いていない。
だって、真剣そのもの。

いつの間に覚えたのか、
僕の好物ばかりがお皿に盛られて、
笑顔できみが運んでくる。

『さぁ、食べて、』
『いただきます』と頬張る僕をきみは見つめる。
真剣に見つめられて、僕は少し戸惑う。
『どう?』
『美味い』
『ほんとに?』
『ほんとに、美味い。』
少し安心した表情できみも食べ始める。

『ねぇ、今度はあなたが私につくってみて。』
『いいよ。』
『私のお腹もあんな風にグゥ~と鳴るかしら?』
きみはすべてお見通し。

僕だってきみのお腹を鳴らすことくらいできるさ。

20121010
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by ikanika | 2012-12-01 00:45 | Comments(0)


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