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『 Christmas at Dawn 』







「コルシカ島のクリスマスって、どんな感じなんだろうか?」

「コルシカ島?」

「そう、地中海の」

「どうして突然そんなこと訊くの?」

「地中海だと雪は降らないだろうし」

「それを言うんだったら、南半球のクリスマスもそうよ」

「それは見たことある、ビーチにサンタが寝そべってるやつ」


 ハルトは、去年のクリスマスにそんな会話をマユカとしたことを思い出していた。その時、なぜコルシカ島のクリスマスのことが思い浮かんだのか、ハルトにもわからない。地中海のどこかにあるという曖昧な知識があるだけで、正確な位置さえも知らないくらいなのだから。何か理由があったのかもしれないし、全く理由なんて存在しないのかもしれない。もし理由のようなものがあったとしたら、それは何かの暗示なのではないか、とハルトは思う。いずれ、そこを訪れることになる出来事が将来起こるとか、そういう類の事だ。


 去年のクリスマスが終わると世界は少しずつ変化していった。誰も想像していなかった方向に、世の中がゆっくりと、そして確実に下降していくのを、人々はただ見つめるだけの日々が始まった。でも、その変化は目には見えないものだから、多くの人は慌てることなく、ただなんとなく、大人しく受け入れる、という選択をすることになった。ハルトも他の多くの人と同じように、いつもと変わることなく毎日を過ごし、変化を受け入れ始めていた。ただマユカだけは、その変化に抗うように、どこか違う方向に歩を進めはじめているとハルトは感じていた。それがどこへ向かっているのかは、マユカ自身にも見えてはいないようだったけれど。


 ハルトは、毎日決まった時間に目を覚まし、ほとんど同じ内容の朝食を食べた。豆から挽いて淹れるコーヒーと、シンプルな食パンにバターとハチミツ。週に何回かはフルーツやヨーグルトを食べることもあるけれど、毎日ではない。そして、三十分くらい掛けて徒歩で仕事場に向かう。自宅でやろうと思えば出来る仕事なのだけれど、プライベートと仕事場は切り離したいと思い、三ヶ月前に今の仕事部屋を借りた。多くの人がリモートワークになって、ストレスを抱えて少しずつおかしくなっていくのをハルトは早々に感じ取っていて、自らがそうならないうちに手を打ったということなのだけれど、新たに発生した家賃は今の収入ではかなりの負担だった。それでも、心身共に健全でいることを優先したいという思いが勝って、その選択をした。

 ハルトが仕事場を借りると、週に一日だけマユカが顔を出すようになった。どんな部屋か見てみたい、という理由で初めて覗きに来た日に、マユカは「週に一度だけ、ここに居させて」と真剣な顔で言った。ハルトが返事に困っていると「お掃除とか、買い物とかするから、お願い」と懇願して、じっとハルトを見つめた。一日だけなら仕事に支障があるわけではないし、掃除もしてくれるのなら助かると思い、ハルトは了承した。

「でも、ここで何をするつもり?」というハルトの問いには

「ちょっと、準備、いろいろな」という曖昧な答えしか返ってこなかった。

「準備って、何の?」とさらに質問をしても

「まぁ、いろいろよ、これからの」と答えをはぐらかすだけなので、追い追い分かればいいと思い、ハルトは深くは追求しなかった。


 マユカは、毎週水曜日にハルトの部屋を訪れた。午前中に掃除と日用品や食料の買い出しを済ませて、午後は自分のパソコンに向かって黙々と何か作業をしていた。ハルトは、最初の頃、マユカが何をしているのか気になったりもしたけれど、数週間経った頃にはマユカがいてもあまり気にならなくなって、自分の仕事に集中することが出来るようになっていた。毎日、パソコンの画面越しにしか人に会わなくなると、全てが現実に起こっていることではないような感覚になってくるとハルトは思う。街で人とすれ違ってもみんなマスクで顔を隠しているので、自分と同じヒトだという意識が薄れていると感じる。ただ自分と同じように動いている物体という程度の認識だと。当然、対面での会話もほとんどなくなりマユカ以外のヒトの肉声をもう随分と聞いていない気がする。会話が感染の最たる要因なのだから仕方がないのだろうけれど、そのうちヒトから声を発する機能がなくなるのではないか、とさえ思う。


 マユカの集中は二時間が限度で、二時間パソコンに向かっては、休憩して、またパソコンに向かう、というパターンの繰り返しだった。休憩時間には必ずお茶かコーヒーを淹れ、甘いものを食べる。ケーキの時もあれば和菓子の時もあって、その日の気分で決めているようだった。基本的にはハルトの分も用意されていて、ハルトもマユカのお茶の時間に付き合う。時々リモート会議の時間とマユカのお茶の時間が重なってしまって、食べられない時もあるけれど、そういう時は、ハルトのパソコンの脇にそっとお茶と甘いものが置かれる。マユカは二時間おきの休憩時間をずらすことはしない。まるで何かの儀式のように頑なにそれは守られる。ハルトは、だんだんとマユカのいない水曜日以外にも甘いものがないと物足りなくなって、一人の時も時々、駅前のケーキ屋やコンビニで甘いものを買うようになった。そこでお気に入りが見つかるとマユカにも食べてもらおうと、水曜日に用意することもあった。マユカも必ず自分で買ってくるので、そういう時は各々が用意したものを食べ比べすることになった。多少、量が多くてもマユカは翌日まで取っておくことはせずに、その日のうちに必ず食べた。

「食べきれなかったら明日食べればいい」と一度、ハルトが言ってみたら

「それはしないことにしているの。今日のことは今日中に終わらせたいの。明日はいつも新しい日であって欲しいから」と甘い物についての会話にしては少しシリアス過ぎる答えが返ってきた。


 マユカが部屋に来て何をしているのかハルトは知らないまま、もう数ヶ月を過ごしている。ただそういう新しい生活の流れが出来たということだけを受け入れている。新しい生活がはじまると新たな習慣も生まれる。習慣になってしまうと、それが日常になり、新しさとか、そういう価値観とは別の存在意義が生まれる。そうやって暮らしというものが形成されていく。一度身についた習慣はなかなか消えない。それが習慣として身についた経緯なども忘れ去られて、あたかも最初からそうだったような気にもなる。どこかの時点で、冷静に、かつ俯瞰的に自らの習慣を見直すようなことをしなくてはならない、とハルトは思う。必ずしも良い習慣だけが身について残っていくというわけではないのだから。

「ずっとマユカを見ているけれど、僕の部屋に来て君が一体何をしているのかが未だにわからない。君は準備をすると言っていた、いろいろな。そろそろ何の準備をしているのか教えてくれないか?」

「そうね、きっとそう感じていると思っていたわ、いいわ、教えてあげる」

「ありがとう。それで、何?」

「クリスマスよ、クリスマスを迎える準備」

「クリスマス?」

「ええ、そうよ」

「それはそんなに時間がかかるもの?もう数ヶ月経つけど」

「まぁ、そういうことになるわね。でも、それ以上、詳しくは話せないわ。いまはまだ」

「そうなんだ。もみの木を用意して飾り付けをしたり、プレゼントを選んだりとか、そういうことではなくて?」

「ごめんなさい、何も質問には答えられないわ。その時が来たらわかるから、待っていてほしいの」

「そうか、わかった、そうするよ。その時っていうのはクリスマスのこと?」

「そう、クリスマスよ」

クリスマスまでは、あとひと月くらいだ。ハルトはマユカの言う通りにクリスマスを待つことにした。


 翌週の水曜日にマユカはシュトーレンを買ってきた。

「ちょうどあとひと月だから、これを少しずつ食べましょう」と言ってテーブルの上にシュトーレンを置いた。

「これを食べ終える時に、君の準備も整うんだね」

「そういうことになるわね。待ち遠しいでしょ?」

「あぁ、こんなに待ち遠しいクリスマスは、まだサンタクロースの存在を信じていた子供の時以来じゃないかな」

「それは何歳くらい?」

「さぁ、覚えていないなぁ」

「そうなの?私は覚えているわ。小学生に上がる前までね。小学生になったら母と一緒にプレゼントを買いに行ったから、もうサンタクロースの存在は信じなくなってしまったの」

「なるほど、わかりやすくていいね、曖昧なところがなくて」

「そうね、大人になったらそう思えるけれど、その時はショックだったわ。サンタがいないなんてね」

「今年は僕からも君に何かサンタらしいことをしなくちゃね、君が何かを準備してくれているんだから」

「いいわ、別に。健康でクリスマスを迎えてくれたら、それだけで」

「健康で?」

「そう」

「あまり言われたことないね、健康でいて、なんて」

「でも、本当にそれだけでいいわ」

「そうか。わかったよ」


 ハルトは、「健康でいて」と言われてから今まで以上に手洗いや消毒などに気を使うようになった。人混みを避け、出来るだけ食事も家で済ますように心がけた。そういう生活様式がどこまで感染予防対策として有効なのかは未だにわからないのだけれど、やらないよりはマシだろう、という考えで実行している。ウイルスが世界中に満遍なく広がったように、クリスマスも、世界中のどの国にも平等に訪れる。この先一週間くらいをかけて、もみの木やサンタやトナカイが世界中に出現する。それはあたかも感染が世界中に徐々に広がっていく様子と極似しているとハルトは思う。人々が望むことと、そうではないこと、という大きな違いがあるだけで、現象としてはとても似ていると。ハルトにもクリスマスが訪れる。今年はマユカから何かしらのプレゼントのようなものが約束され、その訪れを待ちわびているクリスマスが。その時、世界がどうなっているのか、誰にもわからない。どんなクリスマスがやってくるのか誰にもわからない。しかし、世界中の人々がその訪れを心待ちにしている。ハルトもそのうちの一人だった。


 マユカが買ってきたシュトーレンが小さくなっていく。あともう少しでなくなる。それは、クリスマスが訪れるということだけれど、マユカが何を準備しているのかハルトには未だにわからない。残りの日数を考えれば、あらかた準備は完了しているはずなのだろうけれど、今までとマユカの様子が変わってきたかというと、そういうこともなく淡々とパソコンに向かって何か作業をしている。まるで作家が小説を執筆している風だとハルトは思う。だとすると自分は傍で完成をジリジリしながら待っている編集担当者だろうか、などと空想してみる。あるいはマユカは世界中のネットワークを脅かすウイルスのようなものを密かに開発していて、それをクリスマスに拡散しようとしている、というような、通常ではありえない想像もしてみる。しかしマユカの様子を見ていると、どちらも本当にありえない事でもないのかもしれない、という思いも湧いてくる。同時にハルトはそういう妄想をしている自分の頭がおかしくなったのだろうかとも考える。リモートワークでおかしくなっていく周りの人達を見て、こうして部屋を借りたのだけれど、そういう自分の方がおかしくなってしまったのだろうか、と。ハルトは、なんとなく昨夜から熱があるように感じている。体温計が見つからず、はっきりとはわからないのだけれど。


 翌日がクリスマスイブの水曜日の午後、

「ハルト、シュトーレン食べよう。もう今日でおしまいよ。明日はクリスマスケーキを作るわ」とマユカが言う。いつもと何も変わらない様子のマユカをハルトは、じっと見つめる。

「なに?どうしたの?聞いてる?」

「あぁ、聞いてるよ、もうクリスマス?」

「そうよ、明日はクリスマスイブ。どうしたの?大丈夫?」

「少し熱があるみたいだ。体温計が無くてわからないんだけど」

マユカは、ハルトの額に手を当てる。

「確かに熱いわ。私、体温計買ってくるから、横になっていて、いい?わかった?聞こえてる?」

「聞こえてるよ、ありがとう」ハルトはそう言って、玄関を出て行くマユカの後ろ姿をぼんやりと眺めた。


 マユカが耳元で囁く。

「だから健康でいて、って言ったのに」と。

ハルトは一言「ごめん」と言おうとするけれど、声をどうやって出したらいいのかがわからない。

「それだけでよかったのに」とまたマユカの声。ハルトは声の出し方がわからないから、黙っている。何も言わないハルトを見てマユカは涙を流している。マユカの涙は止まることなく流れ続け、ハルトの周りを地中海のような青で満たした。ハルトは白いベッドの上に横たわっている。右手に見える窓からは地中海が見える。そこがコルシカ島だということがハルトには分かる。明日、クリスマスを迎える地中海の島だ。「コルシカ島のクリスマスって、こんな風なのか」と熱で火照った頭でハルトは思う。マユカはどこにいるのかと部屋の中を見渡してみるけれど、その姿は見当たらない。早く体温計を持ってきてくれないかと、考える。早くしないと体温計で測れないくらい、どんどん熱が上がってしまうと思う。その時、島にある立派な劇場からトランペットの音色が漏れて聴こえてくる。クリスマスソングを奏でている。聴いたことのあるスタンダードな曲。ハルトはその曲のタイトルを思い出そうとしてみるけれど、熱のある頭では無理だと思い諦めた。それでもメロディーは覚えていてトランペットの旋律に合わせて鼻歌を歌ってみる。

「あら、ご機嫌ね、そんな風に歌えるならもう大丈夫ね。今夜あの劇場でコンサートがあるの。この島出身の有名なトランペッターよ。チケットがあるから一緒に行きましょう」と部屋に入ってきた女が言う。

「マユカ?」

「私はマユカじゃないわ。あなたマユカを知っているの?」

「あぁ、知っている」

「全部マユカのせいよ、こんな世界になったのは。どうしてやめさせなかったの、あなた」

「やめさせるって?」

「まぁ、もういいわ、終わったことよ、仕方がないわ。幸いコルシカには影響がなかったわけだしね。で、どうするの?コンサートに行くの?行かないの?今夜はクリスマスイブよ。まさかこのベッドに一晩中寝ているつもり?」

「行きたいけど、マユカが」

「またマユカ?マユカがどうかしたの?」

「体温計を持ってくるんだ」

「そうなのね、じゃあ仕方がないわね、じっとそのベッドで待っていればいいわ、そのマユカという女を。私はコンサートに行ってくるわ。多分、この部屋にも音が届くかもしれないわね、あなたはそれを聴いて我慢していればいいわ、じゃあね」と女は部屋を出て行こうとする。

「待って、やっぱり行くことにするよ、コンサートに、君と一緒に」

「じゃあ、早く着替えて支度をして。そんなパジャマじゃ劇場に入れてもらえないわ。男性のドレスコードはタキシードよ」

「タキシードなんて持っていないよ。ここは単なる仕事部屋だから、一度家に帰らないと」

「家はどこ?」

「世田谷」

「それは無理ね、ここはコルシカ島だってこと、わかってる?」

「あー、そうだった」

「仕方がないわ、私が叔父さんから借りてくるから待っていて」

「ありがとう」

女はタキシードを借りに部屋を出て行った。ハルトはまたベッドに横になって女が戻ってくるのを待った。部屋のドアが開きマユカが息を切らして入ってきた。

「買ってきたわ、はい体温計」

「もう大丈夫なんだ、それは」

「どういうこと?熱は下がったの?」

「わからない、けど、僕に今必要なのはタキシードなんだ。コンサートに行くから」

「何を言ってるの?コンサートって何?」

「島の劇場でクリスマスコンサートがあるんだ」

「島?」

「そうコルシカ島」

「ハルト、熱で頭がおかしくなったの?コルシカ島ってなに?それに今はコンサートなんてできないわ、ウイルスの所為で」

「マユカこそ、何を言ってるんだ?ほら、聴こえてくるだろ、トランペットの音色が。さっきからクリスマスソングを奏でている。なんていう曲だったろう、タイトルを覚えてる?僕はメロディーは思い出せるけど、タイトルが思い出せない。この曲、君も好きだって言っていたよね、クリスマスソングの中でこれが一番好きだって」

「ハルト、私には何も聴こえないわ。きっと熱のせいね、幻聴だわ」

「違うよ、ほら聴こえる、よく耳をすましてごらんよ、ねぇ」


 ハルトは目を覚ます。どれくらい眠っていたのかわからない。部屋を見渡し、いつものようにパソコンに向かうマユカの背中に視線を向ける。いつのまに戻ったのだろうか、体温計はあったのだろうかとぼんやり考える。寝返りを打つとマユカが振り向いて、心配そうに近づいてくる。

「ずいぶん長い間、眠っていたわね。もう日付が変わって、クリスマスイブよ。はい、体温計」

「ありがとう」

「もし熱があったら、念のため検査ね」

「そうだね。ところで、この音楽は何?」

「イタリアのトランペッターの、クリスマスコンサートのライブ盤」

「どうしたの?これ」

「去年、ハルトがコルシカ島のクリスマスってどんな風なんだろうって言っていたでしよ。この前、偶然ネットでこのCDを見つけたの。コルシカ島の劇場でクリスマスに開催したコンサートみたいよ」

「そうか、そのコンサート、男性のドレスコードはタキシードなんだって」

「えっ?どうして知っているの?そんなことを」

「まぁ、いろいろあってね、説明が難しい。それより、マユカのクリスマスの準備はもう整った?」

「そうね、だいたい出来たわ。あとは明日を待つだけ」

「そうか。楽しみだね」

「うん。上手くいけばいいけど」

「上手く?」

「そう、上手くいけば」

「それって、もしかして」

「?」

「いや、なんでもない」

「なに?」

「いや、大丈夫。明日のクリスマスを待つよ」

「うん、楽しみにしていて。それで熱は?」

「少しあるみたいだ」

「そう、それは心配ね。とりあえず寝ていて。私は最後の仕上げをするから。あした検査に行きましょう、ね、いい?」

「わかった。そうするよ」

 ハルトは再び目を閉じ、トランペットの音色に耳を傾ける。演奏が終わると観衆の拍手がおこる。タキシードを着た自分もそこで拍手をしている。横を見ると、さっきの見知らぬ女が同じように拍手をしている。そして、おそらくイタリア語だろうか、ハルトに向かって何かを言ったようだけれど意味はわからない。ハルトはとりあえず「メリークリスマス」と言ってみる。女は微笑んで「メリークリスマス」と応えた。コンサートが終わり劇場を出ると、ちょうど日付が変わり、街の教会の鐘が鳴る。ハルトは少し熱っぽく感じ、額に手を当ててみる。やはり熱があるように思う。早く帰ってマユカの買ってきてくれた体温計で計らなくては、と思う。


 マユカは、随分と時間が掛かってしまったけれどクリスマスに間に合ってよかったと思う。ハルトは再び目を閉じてから、また長い間眠っている。あまりに静かなので少し不安になって、そっと寝顔を覗き込み、さらに耳を口元まで近づけて寝息を確認する。大丈夫だ、ゆっくりと静かに呼吸をしている。

 マユカはデスクに戻り、日付が変わるのを待ってエンターキーを押し、ノートブックを閉じた。これで全てが終わったと思うと安堵で全身の力が抜けていくのがわかる。この数ヶ月、自分ではあまり意識していなかったけれど、きっと緊張していたのだと思う。ようやくそんな日々から解放されるのだ。クリスマスイブの夜なのに、街は静まり返っている。マユカは、ベッドで眠るハルトに「メリークリスマス」と呟き、まもなく訪れる夜明けを待った。



END


by ikanika | 2020-11-30 21:00 | Comments(0)


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