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恋について語りましょう。






〜 恋について語りましょう。〜




「やっぱり、これは私へのラブレターでしょうか?

 そうであったら嬉しいのですが、

 私の思い過ごしだったら、恥ずかしいです。

 身体がふわふわしている感じがします。

 これは、恋の症状だと、私は思っています。

 もし、治す薬があったとしても、

 しばらくはこのままでいいと思ってしまうのは、

 かなり重症かもしれません。

 重症患者は、それ相当の施設に搬送されなくてはなりません。

 だから、そこへあなたが連れて行ってください。

 こうなってしまったのは、あなたの責任ですから。

 早く、お願いします。緊急搬送的なスピードで」


「もし、あれがラブレターじゃないとしたら、なんなのでしょうか?

 僕はお医者さんではないので、

 きみの症状がなんなのかまでは、わかりませんし、

 救急隊員でもないので、搬送もできません。

 ごめんなさい。

 ただ、その症状を緩和する方法を考えてみたいと思います。

 少し、時間をください。

 それまで、なんとか持ち堪えてください。市販の薬とかで」


「市販の薬って、効くんですか?

 おすすめは、ありますか?」


「例えば、Charlie Hadenなんか、よく聴きます」


「よく聴く? よく効くのが、いいです」


「大丈夫です。よく効きます。TOKYO ADAGIOとか、特に」


「言っていることが、よくわかりません。

 でも、ネットで探してみます。そのCharlie Hadenとやらを。

 効くかどうか、試してみます。

 本当は会ってお話がしたいのですが、無理ですよね、今は。

 ウイルスたくさんいるし。

 このウイルス、いつまでいるんでしょうかね?

 ずっといなくならなかったら、どうしましょう。

 私たち、ずっと会えないですよね。一生」


「いま会えないのは仕方がないから、

 どうだろう? もう少し恋の始まりの余韻を楽しんでみるというのは。

 実際、もう始まってしまっているのかもしれないけれど、

 まだ、その指先にも触れていないし」


「私の指に触れたいんですか? ヘンタイですか?」


「僕は、ヘンタイではないと思います。

 ただ、きみにもう少し近づきたい、

 あるいは近づいて欲しいという気持ちの表現です」


「なんか、それ、心がざわざわします。

 あなたは、私に近づいてほしいのですか?」


「そう」


「だったら

 もう近づいています。もっと?」


「そう、もっと。

 僕には思い切り手を伸ばしても、

 まだ届かない距離にいるように思えるけれど、違う?」


「きっと、伸ばしている向きが違うんだと思います。

 もしかして方向音痴ですか?笑。

 すぐ近く、息がかかるくらいの距離にいます。

 見えませんか?」


「だとしたら、近すぎて見えない」


「屁理屈。

 じゃあ、見えなくても私の心がざわざわしている音は聞こえるでしょ?」


「そうだね、聞こえる気がする」


「嘘つき。

 なんか、このやりとり、へんです。やめましょう」


「はい、ごめんなさい」


「あなたは、私にラブレターなんか書かなくても、モテそうですけど?」


「どうなんだろう、よく分からないけれど、

 一番好きな人からは、

 なかなかアプローチされないというのは確実にあります。

 だから仮にモテていたとしても実感が薄いのかもしれません。

 いまだったら、きみからアプローチされたら、

 モテてる実感が湧いてくるな、きっと。

 これは、告白になるけどね」


「なんか、プレイボーイ的な、告白の仕方ですね、それ。

 本心か、よくわからないので、

 あなたが私のことをどのくらい好きなのか、教えてください。

 わかりやすい例を挙げて」


「先生みたいな、言い方ですね。わかりました。

 この前、

 きみに会えない時のために、

 とりあえずきみの写真を集めてみました。

 思ったよりたくさんあって、

 テーブルの上に並べてみたら、

 自分がちょっと危ない犯罪者みたいに思えてきて、

 慌ててやめました。

 頭の中で考えてるくらいがちょうどいいと

 思いました。

 どうですか?こんな感じで、先生」


「ダメですね、やっぱり、あなたはヘンタイの要素があるようです。

 そんなのでは、点数は差し上げられません」


「じゃあ、きみが例を挙げてみてください」


「わかりました。

 恋をすると夜更かしになるじゃないですか、

 というか寝不足になりますよね。

 きのうも眠れなくて、きょうも眠れそうにありません。

 それにご飯が喉を通りません。

 つまり不健康になります。

 それが、私です」


「また、病気の話ですか?」


「じゃあ、聞きます、

 健康的な恋がしたいのだけれど、どうしたらいいのですか?」


「だから、僕はお医者さんではないと、さっき言いました」


「そうでしたね、ごめんなさい」


「いえ、そんなに素直に謝らなくても、大丈夫です」


「あぁ、でも、どうしよう、私、ずっとあなたのことを考えています。

 正直な話、こんなこと、しばらくなかったから、

 どうしたらいいのか、わかりません」


「急にどうしたんですか? 情緒不安定ですね。

 僕も、一日、きみのことを考えて終わります。

 考えてみたところで、何かが変わるのかは、分からないのだけれど。

 でも、考える。不思議です」


「考えるって、具体的になにを考えているんですか?

 ただ、会いたいとか、手をつなぎたいとか、そういうこと、ですか?

 それとも、もっと大人のことですか?」


「それは、言えません」


「どうしてですか?」


「いいじゃないですか、その辺は。

 話は変わりますが、

 僕はこの前から、考えてることがあります。

 僕たちに何か通ずるものがあるとしたら、

 その一番は、

 お互いにパートナーがいるのに

 こうしてやりとりしてしまうことじゃないかと」


「じゃあ、やめますか? これ」


「嫌です。やめません」


「だったら、そこは触れずにおきましょう。

 お互いのために、その方がいいと思います。

 安全安心が一番です」


「なんか聞いたことがある言葉ですね?

 誰が言ってたんでしたっけ?」


「政治家とか偉い人だと、思います。

 抽象的な事を言っていれば許される立場になると、

 それくらいしか言うことがないのだと思います、そういう人たちは。

 だから、みんなおんなじ事しか言わなくて、つまらないのです。

 偉い人たちは」


「同感です。でも、政治批判はやめておきましょう。

 どこで、だれが聞いているかわかりません、いまの世の中。 

 盗聴されているかもしれませんし、

 このやりとりも誰かが見ているかもしれません」


「だれか見れるんですか? これ?」


「見れます、たぶん。システム部の人とか」


「システム部?って誰ですか?」


「誰でしょう? 誰か知らない人です、たぶん。

 知り合いではないと思います。

 誰かシステム部に知り合いいますか?」


「システム部の知り合いは、いません、たぶん。

 でも、そういう人って、身分を明かしてないんじゃないですか?

 個人情報保護の観点から」


「政治家みたいな言い方ですね」


「政治の話しはナシでしたね、ごめんなさい」


「いえ、そのくらいなら大丈夫ですよ。

 さっき、途中でしたよね?確か」


「何がですか? なんか全部途中ですよ、私たち。

 何か結論めいたものが欲しくて

 これやってるわけじゃないじゃないですか。

 恋の話、ってそういうものですよね?」


「恋の話をしてたんでしたっけ? 僕たち」


「そうだったと思います。そうですよ、あなたのラブレターが発端で」


「そうでした。じゃあ、恋の話から脱線しないように、

 もう一度、軌道修正しましょうか」


「いいですよ。

 私、モヤモヤしているんです」


「それ、恋の話ですか?

 また病気の話になりませんか?」


「恋の病の話は、オッケーですか?」


「まぁ、そうですね、

 それは、病と言っても

 お医者さんが相手にしてくれない部類のことなので、

 オッケーです」


「よかったです。

 私のモヤモヤ、これ、なんですか? 恋の病ですか?」


「それだけだと、わかりません。

 一度、そのモヤモヤをそのまま僕にぶつけてみてください。

 受け入れる準備はあります。たぶん、どんなボールでも。

 ただ、あまりに大暴投だと、見ないふりをしてしまうと思います」


「大暴投してしまうかもしれません、私。

 自信ありません、ストライクゾーンに投げるの」


「ストライクじゃなくても、大丈夫です。

 ストライクは難しいですよね、僕も、たまにしか投げられません」


「でも、あなたは、どストライクです。私には」


「上手いこと言いますね。

 恋の話をスポーツに例えるのってなんなのでしょうね?」


「照れ隠しじゃないですか? たぶん」


「なるほど。正解な気がします」


「たぶん正解です」


「じゃあ、僕も。

 きみは、一本勝ちです、僕には」


「なんですかそれ?」


「いまいちでしたね。僕は苦手かもしれません。スポーツに例えるの」


「そのようですね。無理に例えなくていいです。別に。

 単なる照れ隠しですから。照れがない人は必要ないじゃないですか。

 あなたみたいにラブレター書けたら必要ないですよ、きっと」


「僕もそんな気がしてきました。

 そもそも、

 これはラブレターですか?って、なんでそんな風に思ったのですか?

 あんなに情熱的に愛を語ったのに。伝わりませんでしたか?」


「たぶん、情熱的過ぎて、のぼせてしまったんだと思います。

 私たち日本人には、ちょっと熱すぎたんだと思います。

 身体がふわふわしてしまったくらいに」


「僕も日本人です」


「知ってます。でも、特殊なんじゃないでしょうか、あなたは。

 そんな気がします。出会った時からそう感じていました」


「僕らの出会いを覚えているんですか?」


「はい、当然です。稲妻に打たれた感じでしたから」


「青い?」


「なんですか? 青い、って?」


「青いイナズマ、って知りませんか?」


「知りません」


「スマップです」


「スマップは、世界に一つだけの花、です。それ以外は知りません。

 私の世代は、嵐ですから」


「嵐、本当に解散するんですかね?」


「知りませんし、どうでもいいです」


「ファンじゃないのですか?」


「違います、世代、と言っただけです。

 あなたの世代は、誰ですか?アイドル」


「アイドルは、知りません。洋楽しか興味がなかったので」


「洋楽、っていう言葉が、世代を感じます。

 今はもう、洋楽とか邦楽とかないみたいですよ。

 ネット社会ですから、世界中が一つみたいになってしまって」


「そうなんですね。知りませんでした。

 もう、時代に乗り遅れていますね、僕は」


「たぶん、そんな気がします。残念ながら。

 でも、それでもいいと、私は、思います。

 時代なんてそもそも乗り物じゃないし。

 どうせ乗るなら、早いスポーツカーがいいです、私。

 あなたは、運転免許もってますか?」


「はい、当然です」


「いまの世の中、それ、当然じゃないですよ、

 持ってない若者多いみたいですよ。

 ほら、やっぱり、乗り遅れてる」


「でも、持っていた方がいいですよね?

 でないと、早いスポーツカーに乗れませんよ」


「それは、そうでした。あなたが乗り遅れていてくれてよかったです。

 今度、ドライブに連れて行ってください」


「どこに行きたいですか?」


「どこでも、いいです。行き先は。

 ドライブの目的は、純粋に、早いスポーツカーに乗ることなので。

 純粋なドライブです」


「純粋なドライブ?」


「そうです。

 帰りにラブホテルによってやろうとか、そういう下心のない、

 純粋なドライブです」


「みんなラブホテルに行くわけじゃないですよ、きっと」


「あなたは行ったことないのですか? プレイボーイのくせに」


「僕は、プレイボーイでもないですし、

 ラブホテルにも行ったことはありません」


「行かなくても済んでしまったのですね?」


「どういう質問ですか?それ」


「別に、どうもこうもありません」


「なんで、ラブホテルの話になったんでしたっけ?」


「ドライブです」


「そうでした。

 だったら、首都高速がいいと思います。 

 C1をずっと回っていれば、どこにもたどり着かないし、

 スピード出せるし、夜景もきれいだし」


「だから、夜景とかは必要ないんです。純粋なので」


「そうでしたね。ごめんなさい」


「でも、C1だと、ガソリンスタンドないですよね?

 ガソリンなくなったら、どうするんですか?」


「そんなに、走るんですか?」


「わかりませんけど、ちょっと心配になって」


「満タンにしてスタートすれば、満足するくらい純粋に走れると思います。

 最近の車は燃費いいですから」


「私が乗りたい早いスポーツカーは、燃費悪いと思います」


「例えば?」


「フェラーリとか?」


「フェラーリに乗りたいんですか?」


「わかりません、例えばです。他には、ポルシェくらいしかしりません。

 早いスポーツカーだったら、銘柄はこだわりませんから、大丈夫です。

 でも、あなたは早いスポーツカーもっているんでしたっけ?」


「持っていません。僕が持っているのは、普通の車です」


「普通ってなんですか?」


「マツダです」


「マツダ、いいですね」


「マツダ好きですか?」


「はい、国産だと、マツダだけ許せます。あとは、好きではありません。

 理由は、特にないです。ただ、なんとなくです。

 広島出身でもないですし、カープ女子でもないので。

 あえていうなら、マツダ女子です」


「マツダ女子って、いるんですか?」


「知りません、勝手に言ってみただけです」


「じゃあ、マツダでドライブで、いいですか?

 首都高速を」


「はい、お願いします。デートみたいですね。

 ていうか、

 そもそもデートしたくて、ラブレター書いたんじゃないんですか?

 あなたは」


「そうです。ようやくたどり着けました」


「長かったですね。

 でも、そもそも私たち、

 そんな風に会ってしまってはいけないんじゃないんでしたっけ?」


「その辺りの話は、触れない約束しましたよね?」


「そうでした。安全安心第一でした」


「運転も安全安心第一でします」


「上手いこと言えたって思ってます?」


「だめですか?」


「今ひとつ、つまらないです、それ。私の好みではありません」


「じゃあ、取り消して、謝ります」


「それ、政治家みたいです」


「また政治の話にもどりそうですね。

 僕たち、もしかしたら政治の話、好きなんでしょうか?」


「それは、百パーセントないと思います。だってあの人たち」


「あっ、ちょっと待ってください、そこまでで」


「そうですよね、盗聴というか、システム部ですね」


「はい。安全安心第一で」


「そうですね。何事もそれですね。いいこと言いますね、あの人たち」


「急に褒めるのも嘘臭いので、微妙ですね。

 でも、きみのそういう変わり身の早さは、好きです。

 カメレオンみたいで」


「カメレオン好きなんですか?」


「わりと」


「でも、あれ、そんなに瞬時に色変わりませんよね。徐々にですよね」


「そうでしたっけ?記憶があいまいですね、その辺。

 テレビとかだと早回ししたりするので、

 本当はどんななのか、わからないですね」


「本物、見たことないんですか?好きなのに」


「わりと好きなだけで、そんなに好きなわけではありません。

 カメレオンより、犬が好きです」


「なんの話ですか?犬って。

 普通、カメレオンより、カエル、とかじゃないですか?

 犬だとジャンル違いすぎると思います」


「まぁ、そうですけど、爬虫類全般、そんなに興味ないので、

 話題をずらしたかったんです」


「カメレオンを持ち出したのは、あなたです」


「はい、でも、犬の話の方がいいです」


「どうぞ、ご自由に」


「犬、嫌いですか? 猫派ですか?」


「その犬派猫派、ってなんなのでしょうかね?

 私は、鳥派です」


「鳥派ってことばあるんですか? 初めて聞きました」


「あってもいいと思います。

 ペットとしてはスタンダードじゃないですか?

 あなたは、犬派、猫派、それとも鳥派?そんな使い方で」


「亀もスタンダードです」


「亀派? ですか? 私、亀、嫌いです。臭いし」


「あれ、亀が臭いんじゃなくて、水だと思います。

 亀に罪はないと思います」


「どっちでも、いいです、それ。

 あなたは亀を擁護しますね? 亀派ですか?」


「すいません、いま頭の中で、

 カメハメハ、という言葉が浮かんでしまいました。

 そういうのも、嫌いですよね?」


「はい、やめてください。そういうの」


「わかりました」


「で、犬の話がしたいんですよね? 私は鳥の話がいいんですけど」


「じゃあ、やめましょう。共通の話題のがいいですよね」


「私たちに共通の話題ってなんですか?」


「あれじゃないですか」


「あれじゃわかりません」


「恋」


「そうですね、恋について、語りましょう」





おわり。






by ikanika | 2020-05-20 11:46 | Comments(0)


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