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『山下達郎と、その周辺。』Web Report 後半


さて、後半です。
まずは、これを聞きたい思います。
今回のツアーで、グッと来たというかザワッてきた瞬間が二つあって、
ひとつは、さっきの村田さんの「一本の音楽」をギター一本でやった時で、
もうひとつは、この曲の時でした。「土曜日の恋人」。
この「土曜日の恋人」は86年の作品で、ひょうきん族のエンディング曲です。
うまく言えないんですけど、80年代の達郎さんの曲って、
こう、ちょっと向こう側にある幸せな瞬間、
ちょっとがんばれば明日の夜幸せなことがあるんだろうなっていう気持ちにさせる。
遠い未来とかではなく、ちょっと手の届く未来。来週とか、
明日とかそういう感じ。
土曜の夜をテーマにした曲は幾つか書いている気がしますが、
その中のひとつです。45回転のアナログEP音源です。

16.土曜日の恋人(アナログEP音源)

過去のライブでは演奏したことがなく、
今回のツアーで初めて演奏したということでした。
アルバムとしては86年4月に出た「Pocket Music」に入っているので、
ジャスト30年経つんですね。
83年から86年までというのは、NHK-FM『サウンド・ストリート』をやっていて、
聞いていた方もいらっしゃると思います。
僕は最終回とその前、2回分を録音したんですけど、
それがこのあいだ再生してたら切れちゃったんですよ。
でもセロテープで復活させました。さすがアナログ。
『サウンド・ストリート』は、月曜日は佐野元春、火曜日は坂本龍一、水曜日は甲斐よしひろ、
木曜日が山下達郎、金曜日が渋谷陽一の5人がやっていました。
夜の10時から10時50分なので、
その時間は部屋に行って家族との交流を一切断っていましたね。
86年の「Pocket Music」が出たときに、
佐野元春の回に山下達郎が出たことがあって。
当時まだ二人は30歳くらい。その触りを聞いてみましょう。

17.Motoharu Radio Show(1986.4.21カセットテープ音源)

TAPE収録ナレーション
佐野元春「『Pocket Music』というタイトルに込めた意味とは?」
山下達郎「Pocketというのは僕らのこのポケットと解釈してもらっていいです」
佐野元春「ポケットに入るようなフレンドリーな音楽?」
山下達郎「というか、音楽自体、ミュージックという記号以外のものをすべて排した意味。
     小さくなるとそれぐらいになるんじゃないかと」
佐野元春「ああ、なるほど」
山下達郎「フィル・スペクターがポケットシンフォニーという言葉を使ってたのね。あれと同じような意味かな」
佐野元春「なるほどね」
山下達郎「曲の『Pocket Music』というのはね、またちょっとニュアンスが違ってて、その内容じゃないんだけど。
     毎月、シングルとLP合わせて400Wくらい出るのね、日本だけで。
     だけどヒット曲になるのは一割ないわけじゃない」
佐野元春「ええ」
山下達郎「あとはほとんどなにも認知されることなく、歴史の中から消えていっちゃうから。
     結局、ヒットした曲がオールイズバッドグッディーズロストドリームとして残っていくわけ。
     失われた思い出にもなれないから、曲に対しての鎮魂歌。『Pocket Music』というのは、
     曲の意味合いはそうなんだけど、
     アルバムのタイトルとしてはもうちょっとコンパクトなの」
佐野元春「うん、うん。『Pocket Music』山下達郎」

ということで「Pocket Music」はちゃんとした音で聞いてみましょう。
さっき話したカッティングから始まります。
テンポは遅めなんですが素敵なカッティングです。

18.Pocket Music

はい、この『Pocket Music』というアルバムは、クリスマスイヴが入った
前作「Melodies」やその前の「FOR YOU」「RIDE ON TIME」とかに比べると
やや地味な存在ですが、このあっさりした感じがぼくは好きです。
ちょっと、達郎が流れていてほしいな、という休日の午前中とかには、これを掛けますね。
「FOR YOU」とかだと濃すぎるというか、B面とかすごいですからね。

もうひとつ、最近のものからカッティングものを一曲。

19.Midas Touch

2005年のアルバム「SONORITE」からです。
この頃になるとエンジニアも吉田保ではなく中村達也さんという人になります。
自分のスタジオ、プラネットキングダムのハウスエンジニアですね。
サウンド作りもボーカルがばしっと張り付いて、広がり系というのではなくコンパクトに、
こう中に中に入っていくという感じで仕上がっている。

ここまでカッティング、カッティングと言っているんですが、
ギターのカッティングというカテゴリーで聞いている作品のほかに、
ベース始まりという特徴で聞くものがあります。
ベースで始まる曲はベースに聞き入っちゃいます。そのへんを聞いてみましょう。
83年の「Melodies」からB面の1曲目が「メリーゴーランド」という曲で超絶かっこいいんです。
では。

20.メリーゴーランド

割と簡単なベースなので僕でも弾けましたね。
演奏もいいんですが、声の感じもかっこいい。やっぱりね、若いとこうだね。
冒頭に吉田美奈子さんの話をしましたが、
「Melodies」から吉田美奈子さんの作品は歌われなくなり、
自分の言葉で書くようになります。
どこかのライナーに「このアルバムは全部僕が書いている」と書いてあるんですが、
それは間違いで1曲だけ吉田美奈子さんが書いています。
「メリーゴーランド」のあとに入っている「Blue Midnight」。
これ、やばいくらい良い曲です。
これを最後に美奈子さんの詞は歌わなくなります。
一度掛けたことがありますが、
ちょっと聞いてみましょうか。

21.Blue Midnight

いいですね~。

世の中でコンテンポラリーミュージックでやっているシンガーソングライターは皆、
美奈子さんに歌詞を書いてほしいと思っていて
アプローチするんですが、「1曲だけならいいよ」って感じでたいてい1曲だけは書いてもらいう感じです。
それこそオリジナルラブ、久保田利伸、角松さん、トミタラボとか、
ちょいちょい書いているんですが基本的にはあまり他人には提供していないです。

ベースに戻って、ベース聞きものをもう何曲か聞いてみます。
ベースありきの曲で一番有名なのが、達郎がそこそこ認知されるきっかけにもなった「Bomber」です。
『GO AHEAD!』という、この恐ろしいジャケットのアルバムに入っています。
B面の1曲目です。B1はベースで始めたいってことですかね。
アルバムバージョンとこのベストアルバムのバージョンはミックスが違うので、
アルバムバージョンで聞きます。
B面の1曲目は頭にものすごいSE (サウンド・エフェクト)が入っていて、
道路工事のドリルの音みたいです。

22.Bomber

「Bomber」は78年なので、僕はまだこの当時はリアルタイムでは聞いてないんですが、
大阪のディスコでヒットし始めて注目され、
このあと「RIDE ON TIME」につながっていく発端になった曲ということです。
あとベース物としては、今回のツアーでもやった「Dancer」。
「Bomber」ほど派手ではないんですけど。
元々は77年の『SPACY』に入っているんですが、81年のライブバージョンで聞きます。

23.Dancer

これもこのお二人(ドラム:青山純、ベース:伊藤広規)です。
さっきの「Bomber」はまだ伊藤広規じゃないです。まだ出会っていない。
あと、「メロディー、君の為に」のベースが好きなので聞いてみましょう。

24.メロディー、君の為に

割と単調なパターンですが、僕はこのベースが好きなんで、ベースものとして聞いてます。
さっきの『Pocket Music』からです。

そろそろ終わらせ方を考えています。どこで終わろうかと。どうしましょうかね、きりがない。。。
聞きたい曲がいくつかあるのでそれを聞きながら、クロージングを考えます。
結局、2000年代の曲はほぼ聴かずに終わると思います。はい。
バックメンバーの話をずっとしてきましたが、
こうやって聞いてくると、やっぱり、本人がいて、
それを再現してくれる演奏者がいて成立しているのだと思いますね。

この曲は唯一、この曲だけドラムとベースをこの人たちがやっているんだ、
ということで有名な曲があります。
位置づけとしては地味さ加減が「Pocket Music」と似ている
「MOONGLOW」というアルバムに入っている作品で
「Rainy Walk」を聞いてみます。

25.Rainy Walk

まあ、四六時中、達郎を聞いていないと分からないくらいの違いですが、
ドラムが高橋幸宏さん、ベースが細野さん、つまりYMO。
なぜこの二人なのかというと、
この曲自体はアン・ルイスのために書いてレコーディングも済んでいたものなんですが、
なにかしらの理由でアルバムに収録されず、
もったいないから自分で歌いますということのようです。79年のYMOなので、
まさにワールドワイドに活躍し始めた頃の二人がやっています。
歌詞は吉田美奈子が書いています。

最後にひとつだけ、元ネタ話を。いろいろ語られることは多いのですが、
達郎作品の多くにThe Isley Brothersの影響が聞きとれるので、
The Isley Brothersを、と思って持ってきました。
これ、22枚組。
どのへんを切り取っても山下達郎テイストは入っているので、2曲くらい聞いてみますか。
「DOWNTOWN」の元ネタになっていると言われている曲「If you were there」。
あとはファンキー物で「Show down」。

26.If you were there/The Isley Brothers
27.Showdown/The Isley Brothers

こんな感じで、
まさに見事にその当時の洋楽を取り入れているということで、
ここにアイズレーの22枚ボックスがあるので、気になる方は、ぜひ、どうぞ。

長々とやってきましたが、最後に最新作を聞いてみたいと思います。
ここで出てくるのが嵐です。「復活LOVE」。
竹内まりあ作詞、山下達郎作・編曲です。編曲もやるということは演奏も自分でしていまして、
ギターを弾いているのが達郎です。これは佐橋佳幸さんのギターということです。
佐橋さんは、ひっぱりだこのギタリストなんで、ツアーには達郎さんと小田和正さん、
90年代の佐野元春さんとかに参加しています。
ご存じ、ラブストーリーは突然に、のイントロのチャカチャーンというのは、佐橋さん。
佐橋さんは小田さんの事務所に所属してますね。
では、嵐、聞いてみます。

28.復活LOVE/嵐

フルコーラス聞いてしまいました。
まさか、cafeイカニカで、嵐をフルコーラス聞くことになるとは。

これ持ってていいかもしれないですね。
カッティングがいいですね。コーラスも結構やってましたね。

ジャニーズとは、達郎さんは古くはマッチさんの「ハイティーンブギ」、
キンキの「硝子の少年」なども書いています。
元々は70年代からずっと一緒にやっている小杉理宇造さんという方がいて、
もともとは、達郎のディレクターで
その後、一緒にムーンレコードも作りました。
小杉さんはいまは、事務所スマイルカンパニーという会社の社長で、
加えて今、ジャニーズエンターテインメントの社長でもあります。
小杉さんマターで昔からジャニーズの仕事もやっているということですね。
さて、嵐で終わっていいですかね?
(ザワザワ)

では、きょうはライブ音源の1曲目からスタートしたので、最後もライブ音源でいきましょうか。
達郎さんのライブはいつも「Your eyes」で終わるので、最後に聞きますかね。
「Your eyes」は「Sparkle」と同じアルバム『FOR YOU』に入っているんですが、
このカセットテープのライブ音源で聞きます。

29.Your eyes(カセットテープ音源)

TAPE収録ナレーション
「ここで乗るのは真に心苦しいのですが、
時間が大幅に延びて全部お聞かせできないのが残念です。
というわけで先週から今週の2週で2月23、24日、
神奈川県民ホール横浜で行われました山下達郎のライブからお楽しみいただきました。
きょう掛けた曲は、この暑いのに「ホワイトクリスマス」「クリスマスイブ」
「マンデーブルー」「Lala means I love you」「高気圧ガール」
「ラブアンドアイランド」「Big Wave」
そして今聞いていただいている「Your eyes」。全8曲でございました。
来週から3週間お休みでございます。9月第1週から
また山下達郎のサウンド・ストリートがスタートです。
9月の第1、2週はリクエスト特集をやりたいと思います。
どしどしリクエスト葉書をお寄せください。
それでは2週間続けてお送りしました山下達郎のライブ、
きょうはお別れの時間です。
また9月の第1週まで皆さん、ごきげんよう、おやすみなさい」

(曲途中で切れる)
まさにこれがカセットテープ。足りなかったんですね。
残念でした。とりえあえずクロージングします。

まだまだ聞き足りないとか、気になるものがあれば、
まだ居ますので、延長戦で。

ありがとうございました。


2016/5/3
at cafeイカニカ
by ikanika | 2016-05-11 18:40 | Comments(0)


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